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所北トピックス2023

No78 早稲田大学の所沢キャンパスで脳実習してきました

12月19日に早稲田大学の所沢キャンパスで人間科学部の健康福祉学科の榊原伸一先生の指導のもと、脳の実習をしてきました。

参加生徒は32名で主に1年生の理数科の生徒でしたが、2年生の看護系進学希望者や3年生の進路が決まった者も参加しました。

3年生のうちの1名は4月から人間科学部に入学予定の生徒です。

実習はまず、ブタの頭部(下あごは付いていない)から脳を取り出し。外観を観察します。

脳を覆っている最外層の硬膜(こうまく)という薄い膜ごと取り出します。

眼球の角膜・強膜、脳の硬膜は由来が同じとのこと。

実は発生学的にも眼球は脳の出先機関なのです。

どれも確かに薄い膜でしたが、「強」や「硬」という漢字が使われているだけあって、そう簡単に切ったりちぎったりできる程、柔らかいものではありませんでした。

動物の身体ってちゃんと頑丈にできているのですね。

続いて、脳の底部から出ている末梢神経(脳神経)やクモ膜下腔の血管の様子を観察しました。

脳を包んでいる膜は外側から硬膜、クモ膜、軟膜となります。

同時並行でマウスの脳を低温で薄く切り、切片をつくり、ニッスル染色し、大脳や小脳の様子などを顕微鏡で観察しました。

細胞を形態で識別し、構造から機能を考えることは大切なことです。

機能から形態を考えることが「設計」で、形態から機能を考えることは「形をよむ」という分析手法の一つを実物から学んだことになります。

昼は早稲田の学生さんと混じって学生食堂で昼食をとりました。

偶然にも理数科の卒業生から声をかけられました。

学部の3年生で認知科学を専攻したいとのことでした。

所沢北の制服の集団を見て懐かしくなったようです。

No77 落ち葉拾いを行いました。

12月20日(水)に落ち葉拾いを行いました。

所北の恒例行事として年に2回行っています。

学校の敷地内だけでなく、周辺道路やお隣の市民体育館の方まで広範囲に渡って葉を集めます。

今年は天候にも恵まれ、大量の葉を集めました。

 

学校周辺にはイチョウの木がたくさんあります。

イチョウは、葉の表面にクチクラという透明な膜が発達している植物の一つです。

クチクラはワックスを主成分とするため滑りやすいので、この時期になると天気予報などで注意を促すような話題で見聞きするようになります。

クチクラを形成する植物はイチョウだけではありません。

落ち葉の上を走ったり、自転車で通過するときは気をつけましょう。

 

ちなみに、植物のクチクラには水分の蒸発を防ぐといった葉を保護する役割があることで知られていますが、その構造については、まだ明らかになっていないことが多いそうです。(参考:クチクラ構造モデルに関する発見

 

No76 期末考査が終わりました。

先週、4日間の日程で組まれていた2学期の期末考査が終わりました。

多くの生徒が自習スペースで朝のSHR前や放課後など、早朝から下校時間ギリギリまで学習に励んでいました。

所北生の皆さん、日ごろの学習の成果は発揮できたでしょうか。

勉強は日々の積み重ねが重要だとよく言われます。

「この前の授業で曖昧だったところを振り返っておこう」「問題演習をして単元に対する自分の理解度を確かめておこう」などなど、自分なりの課題を意図的に意識できると効率的です。

 

迷ったり悩んでいるときは、先生や友人など頼れる人に相談しましょう。

言葉にすることで頭の中が整理されるかもしれませんし、人の意見を聞くことでヒントが得られる可能性があります。

 

考査は終わりましたが、自習スペースでは今日も勉強する生徒の姿がありました。

大学受験を控えている3年生と、中には1,2年生も混じっているようです。

自学自習が習慣化していることは素晴らしいことですね。

 

No75 理数科サイエンスセミナー実施報告

令和5年12月13日(水)、理数科の1・2年生対象にサイエンスセミナーという講演会を実施しました。

これは年に2回、理数系の専門家を招いて、高校の範囲を超えた内容について知見を深めることを目的として実施しているものです。

今回の講師では東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻准教授の合田隆先生をお招きしました。

演題は「でたらめ」が役に立つ?!というものでした。

先生は工学部でモンテカルロ法というアルゴリズムについての研究をしており、そのモンテカルロ法の根底にある考えは、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」と言うもので、とにかく「でたらめ」な試行を繰り返すことで目的を達成しようとするものだそうです。

信じられないかもしれませんが、ビッグデータ時代におけるAI技術の基盤を支えるもので、広く用いられいるとのことです。

んーさようですか。

「正確なデジタル技術」を支えているのが「でたらめ」とは意外でした。

「でたらめ」とは、つまり乱数のことです。

どのように「でたらめ」を作り出せばよいのか。

また、「でたらめ」を超える方法はないのか、についての話しに生徒から質問がでていました。

たくさんの質問が出ることはいいことです。

こうした機会に質問力を高めましょう。

 

加えて先生からは、高校生活を送る上での心構えや日々のすべての授業の重要性にも言及いただきました。

ありがたいことです。

来学期の末には2回目のサイエンスセミナーを計画しています。

文学部の哲学科を卒業後に医学部で学び、女流作家でもある脳神経内科医の先生に来ていただくことになっています。

「幽体離脱」や「金縛り」にも触れるかもしれません。

どんな話になるか今から楽しみです。

No74 美術部の作品が校内に展示されました。

冬休み前のこの時期に、校内で美術部の作品が展示されています。

どれも力作ばかりで、部員一人ひとりがどれほどの時間をかけていたのかや、作品を仕上げるまでにどんなドラマがあったのかなど想像するだけで感動します。

ひと目でグッと惹きこまれる奥行きのある作品がありました。

構図やテーマなどの背景がよく練られた見ごたえのある作品がありました。

大胆な筆遣いで迫力ある作品がありました。

繊細で温かみのある作品がありました。

どれもそれぞれに味わい深く、心から楽しませていただきました。

今回は外部に公開していないのですが、今後そんな機会があったら素敵ですね。

この展示会、ぜひ多くの所北生にご覧いただきたいと思います。

No73 探究活動についてフォーラムに参加してきました

12月9日(土)に東京大学生産技術研究所内のコンベンションホールにて開かれた次世代育成フォーラムに参加しました。

未来社会をデザインできる人材の育成ー初等中等教育における探究活動の成果とこれからー

というタイトルのものでした。

まず開会行事では、東京大学の副学長の開会挨拶や昨年度から探究活動のテーマ設定で指導していただいている東京大学生産技術研究所の大島まり教授の趣旨説明、文部科学省の探究活動担当の学校教育官の来賓挨拶がありました。

その後の基調講演では、国立教育政策研究所や経済産業省からの講演があり、話題提供として同じく本校の探究活動の指導に関わっている川越至桜准教授などから話がありました。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のプロボノ活動は今後に連携を模索したいと思わせるような内容でした。

プロボノ(pro bono)とは、職業上のスキルや経験を生かして取り組む社会貢献活動のことだそうです。

ラテン語の「Pro bono publico(公共善のために)」が語源といわれています。

そういえば、意外と大学教授なども高校生と話すことを苦にしない傾向があるように思います。

未来への投資と位置付けているからなのでしょうか。

こうしたフォーラムに参加し、情報収集することで、理数探究や理数探求基礎および総合的な探究の時間の充実に向けて郊外の組織(大学・研究機関や卒業生)と連携を「探究」中です。

考えてみると各教員の教員免許は各教科についてのものです。

それぞれの教育法は学んできましたが、多くの教員が探究そのものの手法やテーマ設定、探究の指導については手探りの状態ではないでしょうか。

前述の川越先生がおっしゃっていました。

「探究」をみんなで「探究」して知恵を出し合っていくことが肝要であると。

なお、当日の模様は後日YouTube「ChannelONG」で公開予定だそうです。

No72 東京大学 高校生と大学生のための金曜講座受講報告

去る12月1日は先端科学技術研究センターの都築怜理先生による講義でした。

まずは流体力学の基礎の話からです。

物質の三態のうちの液体と気体を合わせて流体といいます。

流体には粘性(粘り強さ)があります。

粘性には、

①せん断粘性 横ずれ方向の粘性

②体積粘性 体積変化に対する抵抗

③回転粘性 回転方向の粘性

の3種類があり、非圧縮性流体の支配方程式として、

①質量保存則

②運動量保存則

③エネルギー保存則

④状態方程式

があります。(私はこのあたりから「おいてかれる」感がでてきました)

その後は流体シュミレーションの話題に移りました。

都築先生のhttps://www.satoritsuzuki.org/galleryで検索してGALLERYを見てください。

息をのむような動画が現れます。

 

期末考査前でしたが2名の1年生が参加しました。

大学合格の後の世界を垣間見ることはモチベーションの維持につながります。

中学生の時に高校生活を想像できなかったように、今は大学生活や研究室(ゼミ)所属などイメージがつかめないでしょう。

それなら大学の講義を受けてみましょう。

面白がる自分に出会えるかもしれません。

というわけで今年の金曜講座はここまでです。


次回は来年、「西洋中世に発見されたあの世ー煉獄とは何か」

どんな内容か楽しみにしていて下さい。

No71_人権教育講演会(2年生)

11月に2年生を対象として、性の多様性・LGBTQをテーマとした人権教育講演会が行われました。

以前からあった社会課題ではありましたが、近年、特にこうしたトピックについてメディアを通して、よく見聞きするようになりました。

講演の中で性の4要素(身体的性・性自認・性的指向・性表現)について紹介されました。

この4つの要素の組み合わせや認識は単なるパターンではなく、個人によって多様であり、様々なグラデーションがあることが語られました。

また、最近行われた性別変更に関する訴訟等の話題についても触れていただき、性のあり方やLGBTQ当事者が直面している問題について主体的に考えることができる大変貴重な機会となりました。

講演の後には、生徒から多くの質問が飛び交い、様々な視点や立場に立った講演者からの回答を受け、学びを深めることができました。

No70 東京工業大学のフォーラムに参加しました。

11月25日(土)に東京工業大学の大岡山キャンパスで「理工系ライフと将来」というテーマの女性活躍応援フォーラムに参加してきました。

対象は女子中高生でした。

まずは物質理工学院応用化学系分子創成分野の中島裕美子教授による基調講演がありました。

化学は日常の生活のあらゆるものの「ものづくり」に深くかかわっているそうです。

たとえば化粧品 医薬品 自動車(タイヤ 塗料 座席カバー 燃料) 食品添加物 衣料 接着剤 PCやスマホの液晶 ・・・などなど数え上げるときりがありません。

伸びないゴムと伸びるゴムをつくり分けたり、豊富にある鉄などの金属を用いての触媒開発ができるそうです。

究極のものつくりとは「原子を選んで並べるこ」とあるいは「原子を制御すること」であるとのこと。

それによって生活を潤うおわせることができます。


次に5名の女子学生(学部生、修士、博士)と卒業生によるパネルディスカッションでした。

進路選択や学生生活、奨学金や短期や長期の留学などの体験談語られました。

その中で印象的だった内容は、「女子枠」での入学があることをチャンスと捉えてpositiveに活用してほしいと話していたことです。

1人の修士の女子学生はAO入試(現在では総合型選抜)で学部に入学したそうですが、ある友人から「裏口入学」のように思われていたそうです。

女子枠設定以前から「多少の偏見」があったとすれば、嘆かわしいことです。

「女子枠」というものが広く知られることを望みます。

 

 よく言われますが、進んだ道を正解にすればいいし、結果、成功につなげてしまえばいいのです。

得意なことより好きなこと、人間は興味を持っていることなら、やり続けることができます。

例え研究することが苦しかったとしても、興味のある分野のことであれば、その分だけ楽しむことができます。

学生生活は、一つのことに集中できる贅沢な時間です。

できることならあの頃に戻りたい。

さて、来年の春にソメイヨシノが花を咲かせるころ、本校の3年生たちはどの大学のキャンパスに立っているのでしょうか。

 

ちなみに校内に桜並木がある大学は珍しいそうです。

確かに東大は銀杏並木ですね。

 

No69 科学館プレゼン研修を行いました。

10月30日(月)に理数科の2年生がお台場の日本科学未来館を訪れてプレゼンテーション実習を行いました。

まず午前中に常設展示を見学し、プレゼンテーションしたい題材を探して決めます。

決まったところから、その発表のための準備となります。

食事をはさんで午後は5人ずつ8班に分かれて1人ずつ発表し、その場で未来館の職員の方の助言・指導を受けました。

発表時間以外のところでは、グループ内での振替を含め、各自で展示についての学習を深めたり、自由見学などを行い、最後に全体の活動の振り返りと指導講評を受けました。

 

せっかく自分で調べたことでもあり、すべてを伝えたくなることろですが、発表時間内で伝えられることは限られてしまいます。

そこで、話す内容を精選し、伝えたいことを伝えるということが求められました。

 今回の実習を通して、その難しさやコツ、といったものが学べたのではないでしょうか。

 

現2年生から思考力・判断力・表現力の育成が求められるようになりました。

当然のことですが先進的な研究は多くの場合、1人の作業ではなくチームで行われます。

得意分野を活かし合うためにはフォロアーシップやプレゼンテーション能力育成がこれまで以上に重要となるということです。

正解が無い、あるいは正解が複数ある問にに対してどう向き合って組織としてどう対応するか。

集合知としてどう機能させるかが大事なのです。

 

皆さんはこれまでinput重視の学習は多く経験してきました。

今後はoutputの経験もたくさんしましょう。

積み重ねた分だけ上達するはずです。