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No78 早稲田大学の所沢キャンパスで脳実習してきました
12月19日に早稲田大学の所沢キャンパスで人間科学部の健康福祉学科の榊原伸一先生の指導のもと、脳の実習をしてきました。
参加生徒は32名で主に1年生の理数科の生徒でしたが、2年生の看護系進学希望者や3年生の進路が決まった者も参加しました。
3年生のうちの1名は4月から人間科学部に入学予定の生徒です。
実習はまず、ブタの頭部(下あごは付いていない)から脳を取り出し。外観を観察します。
脳を覆っている最外層の硬膜(こうまく)という薄い膜ごと取り出します。
眼球の角膜・強膜、脳の硬膜は由来が同じとのこと。
実は発生学的にも眼球は脳の出先機関なのです。
どれも確かに薄い膜でしたが、「強」や「硬」という漢字が使われているだけあって、そう簡単に切ったりちぎったりできる程、柔らかいものではありませんでした。
動物の身体ってちゃんと頑丈にできているのですね。
続いて、脳の底部から出ている末梢神経(脳神経)やクモ膜下腔の血管の様子を観察しました。
脳を包んでいる膜は外側から硬膜、クモ膜、軟膜となります。
同時並行でマウスの脳を低温で薄く切り、切片をつくり、ニッスル染色し、大脳や小脳の様子などを顕微鏡で観察しました。
細胞を形態で識別し、構造から機能を考えることは大切なことです。
機能から形態を考えることが「設計」で、形態から機能を考えることは「形をよむ」という分析手法の一つを実物から学んだことになります。
昼は早稲田の学生さんと混じって学生食堂で昼食をとりました。
偶然にも理数科の卒業生から声をかけられました。
学部の3年生で認知科学を専攻したいとのことでした。
所沢北の制服の集団を見て懐かしくなったようです。
No64 早稲田大学生命科学系シンポジウムに参加しました。
令和5年10月28日(土)の午後に、早稲田大学東伏見キャンパスで人間科学学術院生命科学系シンポジウム「脳の不思議と人間の進化」が行われました。
高校生~大学学部3年生くらいを対象にしたこの企画は、未知の脳の働きや人類の進化との関係など、これから大学で神経科学、生物学、医学を学ぼうとしている高校生に刺激を与え、これからの生命科学に興味が持てるような内容でした。
講師を務めるのは各分野の著名な先生方であり、全ての講演は高校生が理解し興味を持ちやすい内容(専門的すぎないように)になるように工夫されていました。質疑の時間などには生徒が積極的に疑問をぶつけていました。
岡山大学の解剖学の川口綾乃先生からは、神経幹細胞とそこから非対称分裂によって分化した細胞の「移動」の話がありました。
動物の細胞ですからニューロンも動くのです。
幹細胞(stem cell)と分化(differentiation)した細胞の違いは分かりますね。
もやっとした生徒は生物室まで来てください。
独協医科大学の脳神経内科医でもあり作家でもある駒ケ嶺朋子先生からは、擬死(死んだふりをすること)や臨死体験、体外離脱、魂の概念などといった人間科学科のコンセプトに合致した内容の講義でした。
先生は早稲田大学の文学部を卒業後に医師になった変わった経歴の先生です。
先生によると右脳の側頭頭頂結合部(そくとうとうちょうけつごうぶ)の不具合で体外離脱の感覚が生じることが実験で示されているようです。
スポーツなどの極限の状況でも自分を上から見ている体験は起こりやいすそうです。
文系だか理系だか医系だかオカルト系だかわからなくなりそうですね。
東京大学理学系研究科の鈴木裕宣先生からはヒトの脳の肥大化とガンになりやすいことは、実は関係があるのではないかという内容でした。
確かにニューロンが増えることとガン細胞が増殖することは共通点がありそうですね。
同じく東京大学理学系研究科の太田博樹先生からは「ヒトの進化と脳の謎~なぜネアンデルタール人のゲノムを調べるの?」という演題で、絶滅した化石人類の説明や骨から縄文人のDNAを抽出する話がありました。
私たちはネアンデルタール人から遺伝子をかなりの割合で受け継いでいるようです。
各先生からはご自身の高校時代や研究職を目指した動機などのエピソードが語られ、生徒が触発されるコンテンツが多くみられました。
世の中には一つのテーマにこだわって、一生をかけて面白がって研究をしている大人がけっこうたくさんいるのですね。
大変ためになったシンポジウムでした。