No31 慶応大学医学部の井上教授と葛窪シェフを招いて地産地消について考えました。
7月17日(月)に慶応大学GSC事業と一般財団法人いのうえ生命の財団との共催で食育のイベントを行いました。
本校生徒のほかに所沢西高校の生徒も併せて30名ほどが参加しました。
まず、井上先生による講演を聴きました。
演題は「生産者・シェフと一緒に地産地消を考えましょう」でした。
野菜等をスーパーマーケットで購入する場合に鮮度や値段を優先して選んでおり産地は軽視されています。
しかし、生産地が近いものを消費することで必要以上の環境負荷がかからないそうです。
確かに遠くのものより近場のものを消費するほうが物流のコストが下がりますし、地球にやさしい行動のように感じました。
また、フードロスについての話では、小売店では消費期限の6時間前に廃棄されていることが取り上げられました。
このフードロスを解消するだけで食べ物の自給率が40%から60%に向上するとの試算があるようです。
医学部の教授ならではの内容として印象に残ったこととしては、油の臓器は肝臓と膵臓だそうです。
タンパク質の分解で生じるアンモニアが肝臓で処理しきれないと脳などに溜まって肝性脳症となり異常行動をとるそうです。
緊急搬送された患者さんが錯乱している状態で壁や窓に衝突しながら走り回るという症例があるとのことでした。
肝臓は大事にしましょうね。
また、膵臓の働きとしては、ランゲルハンス島(膵島)のB細胞からインスリンが分泌されます。
インスリンは血液中のブドウ糖(血糖)を筋肉などに取り込まれるよう促す働きがあります。
だから血糖値が下がるのです。
この働きが機能しなくなると、毛細血管などが「砂糖漬け」となりダメージを受けます。
また、血行が悪くなり、網膜の血管に影響が出ると失明や足先の壊死など影響が出ます。
さらに、筋肉がグルコースを利用しにくくなるので筋肉の量が減りやせ細るのだそうです。
その他にも、一卵性双生児の老化の話や満腹と寿命の話やなぜ女性は便秘に悩まされるかなど興味深い内容ばかりの1時間の講義でした。
さあ、その後はいよいよ調理室でフランス料理の試食です。
葛窪拓真さんは小田原のレストランのオーナーシェフで地元野菜を使った創作フレンチを披露してくださいました。
色の異なるトマトの食べ比べやニンジンの花を食べました。
生徒から「フランス料理で大切にしていることは?」との質問があり、「素材を殺さない、ソースでごまかさないことが大事」とのお言葉をいただきました。
深い言葉ですね。
進路選択については、生徒達に「最後に決めるのは自分」との言葉をいただきました。
葛窪シェフは高校に進学せずに料理の道を志しフランスで5年ほど修行したそうです。
前回、和食の回で「分とく山 野崎料理長」からもありがたいお言葉をたくさんいただきました。
同じ言葉でも、発する人の経歴によって重みや感じ方が違ってきますね。
今回も本当に深くて重い言葉をたくさんいただきました。
ありがとうございました。
次回はパンとケーキを企画しています。