No60 東京大学 金曜講座 受講報告
10月6日(金)の金曜講座は、総合文化研究科准教授の松井裕美先生による講義でした。
テーマは「フランス美術を通して知る西洋の文化・歴史・思想」ということで、19世紀や20世紀の主にフランス絵画をふんだんに用いた資料も準備されていました。
世界史選択の生徒など資料が欲しい場合は申し出てください。
講義では、まず美術史についての話がありました。
「どの作品に価値があるのか」という品定めではなく、「なぜその作品に価値が認められるようになったのか」という価値形成の変遷と要因の分析が大切だとのことです。
例えば、第二帝政期の普仏戦争の勃発やパリ・コミューン結成の直前に、古い貴族の仮装をして野外で食事する男女の様子を印象派風に描くことで何を伝えたかったのかであったり、狩りのいでたちを描写し、髪をなびかせることで何を暗示したかったのかなどの視点から、画家が伝えようとしている「何か」にどのような歴史的・社会的・政治制度的背景があるのかを読み解くのだそうです。
んーなかなか深いですね
次に西洋から見た憧れの東洋、魅惑のオリエントという話題がありました。
東方の世界を理想化し、変化のない・時間のない永遠の習慣と儀式の世界としてオリエントは描かれているそうです。
西洋人あるいは男性性がその支配への欲望を見透かされないようにニュートラルに描かれていると解釈できるのだそうです。
んーこれも深い読み解きですね。
浮世絵や日本画家とのつながりについても触れていました。
黒田清輝は法律家を目指してフランスに留学後画家に転向した教育者・美術行政家です。
黒田自身の作品や印象派との関連あるいは浮世絵との類似性など、どちらがが「本家」か「本歌取り」はどこまでさかのぼれるかという面白い問題提起でした。
美術史を学ぶことは、19〇〇年に何が起こって、どのような人物や仕組みがどのように変遷したかという、年代や固有名詞を明らかにすることが最終目的ではなく、その時期に特定の背景を持った人物が、ある顕著な特徴を持った絵画・作品を制作したことの「歴史的な意味」について考えを広げることが大切なようです。
現代美術はよくわからないと言われますが、その問いに松井先生は「答えではなく問を引き出すから」と答えました。
詳しく知りたい人は、
”現代アートはどうして難しいの?→松井裕美|素朴な疑問vs東大”
上記の検索ワードで探してみてください。
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00210.html
講義を受けながら、わたしは小学生の低学年の頃にテストのプリントだったかと思いますが、裏の白紙に戦車の絵をずっと描いていたことを思い出しました。
あの時のわたしは何を思い、何を表現したかったのでしょうか。今となっては謎ですね。