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2023年6月の記事一覧

No28 生物オリンピック予選に向けた学習会始めました。

本校では生物学オリンピック予選に向けた学習会を始めています。

所沢北高校は今年度から、県内3会場のうちの一つとなりました。

残りの2会場は埼玉大学と日本薬科大学です。

まずは7月16日のマーク形式の理論試験に向けて過去問題に取り組みます。

選択肢から選ぶものですが、これがまた結構難しいのです。

公表されている解説を読んでも、前提となる知識がないと分かりません。

というわけで、小説のように生物基礎と生物の教科書を通して読んでしまいましょう。

できれば音読3回、それでも分からなければいくらでも解説しますよ。

手持ちの教科書で物足りない場合は、「キャンベル生物学」がおすすめです。

生物学オリンピックによる推薦図書でもあります。

自己投資にはなりますが、それなりに高額な書物です。

新品入手が困難だったら相談に来てください。古い版であれば入手できるかもしれません。

今後は土曜日か日曜日にあと3回ほど予定しています。

秋口には数学オリンピックの申し込みがあります。

科学の甲子園の過去問題学習会も予定しています。

楽しみにしていてください。

No27 東京大学 文学部 公開講座 参加報告

先日の6月24日(土)に、本郷キャンパス法文2号館1番大きな教室で行われた文学部の公開講座に参加してきました。

講師は人文社会系研究科国語研究室の小西いずみ准教授、演題は「日本の方言ー過去・現在・未来ー」でした。

映画ハリーポッターの魔法学校の授業に使われるような階段教室で、日本語と日本語族の違いや昔話「ももたろう」冒頭部分の違いなどから講義は始まりました。

「昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました おじいさんは山へ・・・」の部分の語りを青森県、愛知県、京都府、沖縄県などの在住の年配の男性の録音で聴き比べました。

また「じ」「ぢ」「ず」「づ」の対立を古代中央語や高知方言や出雲方言と共通語などで比べてみました。

さらに主語や目的語の無助詞表示の「方言差」などについても詳しく例も含めて説明がありました。

例として

花子が来た 花子来た や 窓が割れちゃったんだ 窓割れちゃったんだ

等を挙げての説明でした。

 

まとめとして

方言は共通語が「なまった」わけではなく、形が違うだけでもなく、仕組みが違うのだそうです。

それぞれの方言の歴史があり保守性と革新性の両面を有しているとのことでした。

この講義を聴きながら思い浮かんだことがあります。

それは、ノーム・チョムスキーの唱えた普遍文法のモデル(仮説)です。

「ヒト言語の知識は、経験によって後天的に学習されるよりも、むしろ経験に先立ってヒトの脳に生得的に与えられている部分が少なくない」というものです。

言語から意味を除いたらどうなるかという考察です。

言語について言語を用いて考察し、自分の脳で脳の機能を説明しようとしています。

できるのでしょうか。

ゆっくり考えたいですね。

 

No26 東京大学農学部公開セミナー参加報告

去る令和5年6月17日(土)に東京大学弥生講堂・一条ホールで開催されたセミナーに参加してきました。

講義50分+質疑応答という形式で3つの講義が行われました。

 

①生物・環境工学専攻富士原和宏教授による『演題:植物へのLED光照射と研究用LED光源システム』

1秒程度以下の短い周期で点滅を繰り返す光をパルス光と呼びます。

このパルス光については不思議な誤解(都市伝説)が国内で蔓延しているそうです。

パルス照射を行うと照射光点滅中の平均の光の強さが連続光と同じであっても、連続光照射よりも光合成速度を大きくすることができるという「誤解」だそうです。

研究用光源システムを開発の内容を話している時の先生の楽しそうな表情は(失礼ですが)工作大好き少年のようでした。

研究者のこだわりというか、美学を感じました。


②東京大学農学部附属生態調和農学機構矢守航准教授による『演題:光を操り 食糧難に立ち向かえ!』

先生が研究している「農場」は田無駅とひばりが丘駅の間にあり、近いので距離的にも親近感を感じました。

この講義でも目からウロコの話がありました。

緑色の光はクロロフィルの吸収効率は悪い(透過したり反射されるため)ので、赤と青の光が主に光合成に利用されている・・・のではなく。

葉の柵状組織や海綿状組織で複数回反射されるため、緑の光も7割近く有効に利用されているようです。

んーそうでしたか。

また、植物工場では土を使わずに栽培していますが、下からも光を当てて栽培すると下の葉(下位葉)の老化が進まずに収穫できるそうです。

透過しやすい緑色の光は逆に中まで入り込みやすいので有効だそうです。

まさに逆転の発想ですね。


③東京大学水圏生物科学専攻岡田茂准教授による『演題:光から”石油”を作る植物プランクトン』

ここまでの講義ですでに「おなかいっぱい」になりましたが、この講義もスリリングなものでした。

ざっくりいうと、現在の石油は古代の生物(植物)の死骸が高温高圧で油になったものです。

では、現在の植物プランクトンが光合成して炭化水素を作って、それを利用できるようにしたらエネルギー問題の一部は解決できるかもしれません。

先生の研究によると、石油を作るBotryococcus brauniiなる生物(微細藻類)が発見されており、この生物は脂肪酸からなる油をつくるそうですが、自身の細胞外に分泌される上、つくった石油を当の藻自身は利用しないとのことです。

これは、謎だそうです。

ですから、余計なことをしているので微細藻類としては極端に分裂速度が遅いのだそうです。

なぜ遅いかもよくわかっていないそうです。

うんうん。

この生物は何のために、石油を作り出しているのだろうか。

石油を作り出すことと分裂速度が遅いことには関連性があるのだろうか。

知りたいことは山ほどあります。

まだまだ未開拓の研究分野は君たちを待っていますよ。

 

今日の午後は、文学部の公開講座です。

小西いずみ 准教授による『日本語の方言 ─過去・現在・未来─』

先生は東京大学 大学院人文社会系研究科 国語研究室国語研究室です。

国語が大好きな生徒のみなさん行ってみませんか??

 

No25 第23回日本抗加齢医学会総会の高校生シンポジウムに参加してきました。

令和5年6月10日(土)の午後、有楽町の東京国際フォーラムで行われた講演会シンポジウムに参加してきました。

講義は、兵庫医科大学医学部総合診療内科の新村健教授による「老年学のすすめ」と、慶応大学医学部化学教室の井上浩義教授による「エネルギー、環境、そして抗加齢医学」でした。

参加した生徒達は、質疑応答の時間に積極的に質問していました。

その後、企業等のブースやポスター展示を見学しました。

その中に国際eスポーツ医学会の展示ブースがありました。

eスポーツはテレビゲームとは異なり「習慣性」は無いそうで、逆に認知症などの予防にもつながるようです。

京都府立医大の研究だそうですが不思議ですね。

この医学会での高校生向けのシンポジウム開催は今年からの試みのようです。

慶応大学の井上先生は本校で夏に食育をテーマにイベントを企画しています。

今年度はフランス料理の試食ができるかもしれません。

楽しみにしていてください。

No24 西部S地区図書委員研修交流会に参加しました。

6月19日(火)入間市産業文化センターで行われた、図書委員研修交流会に本校から1年生の図書委員6名が参加しました。

全体会(講師による講演)の後、担当地区の学校の図書委員が企画した分科会に参加しました。

分科会では、「ブックスタンドの作成」や「POPの作成」などの作業型が4つ、「キャラクターバトル(プレゼン)」や「クイズ」、「物語のその後を考えよう」などのグループワーク型が4つの計8つの企画がありました。

本校の生徒は、それぞれ異なる6つの分科会に参加し、他校の図書委員との交流を行いました。

どの分科会も生徒が主体となって運営し、最初はよそよそしい雰囲気だったものが、徐々に打ち解け最後は時間が足りなくなるくらいの盛り上がりをみせていました。

最後の全体での閉会行事では、各分科会からの報告があり、参加した生徒の感想として、この交流会に参加できて楽しかったことや、企画した生徒への感謝の気持ちが述べられ、とても有意義な交流会だったことが伝わってきました。

今回は参加する立場でしたが、来年は、本校の図書委員が企画・運営側に回ります。

今回の経験を活かし来年の交流会もより良いものにできるように1年生の図書委員を中心に準備したいと思います。

 

No23 東大駒場リサーチキャンパス公開2023活動報告

去る令和5年6月10日(土)に東京大学生産技術研究所および先端科学技術センターの主催する研究室公開に参加してきました。

まずはじめに地下アトリウムで「”STEAM”を体験してみよう」というイベントに足を運びました。

企業ごとのブースでは、JALの折り紙ヒコーキ教室、東京メトロの「電車が曲がるしくみ」など5社のイベントが見られました。

その後は、健康バイオ、IT・AI・ロボット、環境エネルギーなど100を超える研究室の見学や講演会シンポジウム、体験型イベントなどに参加しました。

本校でお世話になっている大島まり教授の研究室では、血管内の血流の可視化の計測について説明を行っていました。

敷地に立ち入るだけでも貴重な機会ですが、最新の研究成果や実用化されている技術に触れ、実りある時間となりました。

研究者は解っていることと解っていないこととの境界をはっきり言ってくれます。

ここまでは現在解明できているが、ここから先のことは人類は誰も知らない。

だから研究して解き明かしたい。

かっこいいですよね。

参加した生徒の中から数年後に駒場の研究室で活躍する生徒がでることを期待しています。

  

No22 理数科2年生 課題研究進行中

理数科2年生の課題研究では、各班それぞれに取組を進めているところです。

いくつかの班の様子を紹介します。

 

土壌生物と環境条件について研究している生物分野のある班の予備実験の様子です。

ツルグレン装置を使って身近な土壌中に生息している生物について調べています。

ツルグレン装置の原理はいたって簡単です。

校内から土をとってきてザルの上にのせて上から光を当て加熱します。

すると土壌生物は、自分たちが過ごしやすい暗くて涼しい下のほうに移動します。

この性質を利用することで、土壌生物を漏斗の先から出し、消毒用アルコールで固定されます。

検索図などを使って分類・同定し、採取した地点の土壌に生息する微生物の多様性についても考察できます。

地味な作業ですが、評論家ではなく実践家であれということでしょうか。

カナヘビについて調べている班では、個体の捕獲目標を20匹としています。

まずは実験を行うための動物を恒常的に安定的に飼育し続けないと実験ができません。

おや、すでに捕獲しているカナヘビのうち、脱皮している個体がいたようですよ。

 


化学分野では、火薬を使わずに安全に花火を作りたいとのモチベーションから、手持ち線香花火の自作を目指している班があります。

また、消臭剤の原料を見つけるという班では、企業秘密の壁に挑むようです。

 

各班、課題や進行状況は様々ですが、どの班も大いに奮闘中です。

 

No21 第49回体育祭

令和5年5月31日(水)に第49回体育祭が行われました。

数日前まで雨予報でしたが、奇跡的に天気が持ち直し、無事に当時を迎えることができました。

さすが所北生、持ってますね。

 

体育祭では赤青黄桃橙緑紫白黒の9つの団に分かれて競いました。

当日ギリギリまで時間をかけて仕上げた各団の巨大壁画はどの団も迫力があり、団のコンセプトに基づく一貫性のある作画が見事でした。

応援ダンスでは、一人ひとりのダンスの仕上がりが高い上、隊形移動、フォーメーション、群舞、見せ場の演出など、企画がよく考えられていて、見ごたえのあるダンスばかりでした。

そして何より、色んなキャラクターに扮して踊っている生徒が楽しそうで良かったです。

競技では、ルールが練られた騎馬戦、見ているこっちが力の入る綱引き、全力で踊ったチェッコリ玉入れ、抜きつ抜かれつ最後まで目が離せなかった団対抗リレーなど、どの種目も白熱していました。

 

 

当日、誰かも言っていましたが、本当に晴れてよかったですね。

競技に打ち込む生徒の表情や、体育祭を楽しんでいる生徒たちの姿が目に焼き付いています。

生徒のみなさん、準備に練習、お疲れさまでした。

 

体育祭が終わって余韻に浸るのかと思いきや、体育祭の片づけと同時に文化祭の話し合いがあったとか。

気が早い気もしますが、逆算すると意外と時間は限られています。

体育祭があれだけ盛り上がったのですから、文化祭も大いに期待しています。

せっかくの高校生活です。

勉強や部活に加え、「行事を楽しむ」ことも忘れずに。

  

No20 東京大学生産技術研究所と連携して探究活動テーマ設定を行いました

普通科2年生の8クラスで総合的な探究の時間にSTEAM型探究活動におけるテーマ設定に向けたワークショップ(以下WS)を行いました。

昨年度から始まった総合的な探究の時間です。そのテーマ設定は重要ですが困難だとされています。

なぜでしょうか。

何となれば、これだけインターネットの普及している時代、調べれば直ぐにわかってしまうようなテーマですと深められずに単なる調べ・まとめ学習になってしまいます。

また、高度に専門的な課題設定や高価な測定機器が必要なテーマですと、始めたとたんに行き詰ってしまいます。

昨年の夏から生産技術研究所の指導の下で準備していたテーマ設定の取組では、4人程度の班での活動を想定しており、レクチャー・個人ワーク・グループでの共有を25分程度で行うWSを全部で7回行い、テーマ発表会に向けてプレゼンテーションソフトを用いた資料またはポスターを作成する予定です。

秘密兵器はクリアケースまたはアクリル板なのですが、詳細は省略します。

今後はテーマ設定の2回目を行い、班ごとの探究活動になります。

総合的な探究の時間では、こうした活動を通して、何をしていいかわからない時に何をしたらいいのかを考える能力、調べ方を調べられる能力、そして学び方を学んでいます。

これは大学入試でも重要視されています。

 

科学技術・教育面で目指すお手本の国やシステムがあった時代は、そこに向かう最短ルートで追いつくことができました。

しかし先頭グループに一旦入ってしまうと、必要なのは周囲をけん引していくための技術革新イノベーションです。

どっちに向かっていったらいいかの成功事例が無いのですから、そこでは課題設定能力および探究力が求められます。

ユニークなテーマ設定ができ、大学や研究機関と連携できたら既存の教科では学べない体験ができるのではないでしょうか。

大いに学んでほしいと思います。

次回の6月30日には生産技術研究所から専門家を招いて指導助言をもらう予定です。

  

No19 金曜講座の報告

令和5年26日(金)の金曜講座は、東京大学先端科学研究機構の今泉允聡准教授による「深層学習の原理を明らかにする試み」でした。


今泉先生は、歴史学者になりたい希望を持ちながら理科Ⅰ類に入学し、3年生で文学部の歴史専攻に進学(文転)。
就職活動で思うようにいかずに修士課程(経済学研究科)に進み、経済理論やデータ活用について学んだそうです。
博士論文は「複雑データのためのノンパラメトリック回帰」。
統計数理研究所での勤務を経て現職へ就いたのだそうです。

文転と理転を経験しているからこその今があるのですね。

講義の内容は、人工知能AIブームの中核技術となる深層学習とは何か。

深層学習の基本は「関数」だそうです。

どういうことか分かりますか??

つまり何かしらの入力に対して、それに応じた適切な出力を出すという仕組み、ということです。

例えば有名な囲碁プログラムAlphaGoの場合、碁盤の盤面の情報が入力される度に次の一手を出力します。

自動運転システムの場合だと、道路の映像を入力として、歩行者の場所を出力します。

この繰り返し。常に考え続け、計算し続けているのです。

深層学習・機械学習の中身は関数で構成された多層ニューラルネットワーク、つまりヒトの神経回路を模した変換する関数モデルです。

ここから先の話をしたいという生徒は生物室まで来てください。

ゆっくり話し合いましょう。


今週は 「史料からみた地震・噴火」
講師の先生は東京大学 史料編纂所・教授杉森玲子先生です。